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大腸ポリープ切除

日帰りポリープ切除について

ポリープ切除当院では、大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)中に前がん病変の大腸ポリープや早期大腸がんが発見された場合には、その場で日帰り手術として切除を行っています。検査中に切除することで、別の日に切除スケジュールを作る必要がなく、事前の食事制限や下剤服用も1回ですみます。日帰り手術ですので入院も必要なく、そのままご帰宅いただけます。
当院では感染予防のために使い捨て可能なものはディスポーザブル製品を使い、それができない器具などは厳しい基準にそって徹底的な洗浄と滅菌を行っています。ポリープのサイズが大きい、数が多い、太い血管がある場合や、血液をサラサラにする抗血栓薬を服用されている場合には、数回に分けて切除する必要が生じる場合や、入院による切除が必要になることもあります。入院が必要になる場合は、連携している高度医療機関をご紹介して、スムーズに適切な治療を受けていただけるようにしています。
なお、検査中の切除を受けた場合には、術後の合併症である出血などのリスクを下げるために、1週間程度は飲酒、運動、長距離移動などを控えていただく必要があります。検査スケジュールを決める際には検査後の1週間は出張や旅行などの予定がない時期を選ぶようにしてください。

大腸ポリープ切除の手法

ポリペクトミー

ポリペクトミーワイヤー状のスネアを内視鏡スコープの先から出してポリープにかけます。スネアを締めたら、高周波電流で焼き切ります。電気メスのような止血効果がありますが、周辺の組織に熱が及ぶ可能性があり、術後に炎症や出血、穿孔を起こすリスクがあります。


コールドポリペクトミー

スネアをポリープにかけますが、ポリペクトミーとは違い通電せずに締め付ける力で切除します。切除の際の出血は自然に止まり、周辺組織への熱ダメージがないため、術後の炎症、出血、穿孔といった合併症を起こすリスクを抑えられます。安全性が高い手法であり、当院でも平坦なポリープや大きなポリープ以外はこの手法を用いています。


内視鏡的粘膜切除術

内視鏡的粘膜切除術平坦なポリープに用いられる手法です。スネアをかけられるようポリープの下に生理食塩水などを注入して持ち上げ、スネアをかけます。下に生理食塩水があって熱が伝わることがないため、切除の際には高周波電流で焼き切ります。


全周切開内視鏡的粘膜切除術

全周切開内視鏡的粘膜切除術比較的大きなポリープの切除に適した手法です。ポリープの下に生理食塩水を注入して持ち上げ、スネア先端で粘膜を切開してスネアをかけやすい形状に整えます。再度、生理食塩水を注入してスネアをかけ、高周波電流で切除します。サイズが大きいポリープを確実に一括切除可能で、ほとんど遺残もありません。創部が大きい場合にはクリッピング処置で止血します。クリッピングで使ったクリップは1週間程度で自然に排出されます。

大腸ポリープ切除で将来の大腸がん予防を

大腸がんの多くが腺腫の大腸ポリープから発生し、大腸ポリープの大半は腺腫です。大腸ポリープの一部に発生したがん細胞は徐々に増殖して大きくなり、下層へと浸潤して進行がんになります。
前がん病変の大腸ポリープは検査中に切除することで将来の大腸がん予防につながります。粘膜の表層にとどまっている早期がんは内視鏡による切除でほとんどが完治できます。
進行大腸がんになるとリンパ節転移や他臓器への転移を起こす可能性があり、内視鏡では切除ができないため腹腔鏡手術や開腹手術、抗がん剤治療、放射線治療などが必要になる場合もあります。それでも治すことができず、再発することもあります。進行させてしまうと心身に負担が大きく、生活に支障を及ぼす大変な治療が必要になりますので、大腸ポリープの段階での切除が有効です。
大腸がんの罹患者数やがんによる死亡者数は長く増加傾向にあり、男女ともに上位を占めています。前がん病変の大腸ポリープや早期大腸がんは自覚症状がほとんどないため、リスクが高くなる40歳を超えたら発見が唯一可能な大腸カメラ検査を受けるようお勧めします。

大腸カメラ検査の精度について

大腸カメラ検査当院では、微細な病変も発見可能な内視鏡システムを導入しています。特殊光による観察が可能なNBIや拡大機能などが搭載され、精緻な観察が可能です。がんは活発に増殖するため周囲に血管を集める性質があり、毛細血管の分布をクリアに観察することで通常光では発見できない平坦で微細な病変も短時間に発見できます。
大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)では10個のポリープのうち、通常は8.5個程度を発見できるとされています。当院では観察時間の確保や、上記のような高度な機能を駆使して検査精度を上げていますが、100%を残さず見つけるという保証はできません。
ポリープ切除を受けた場合には、1年後にフォローアップの大腸カメラ検査を受けるようにすることで、より効果の高い早期発見につなげることができます。

大腸ポリープの内視鏡切除後の合併症について

大腸ポリープの内視鏡切除は日帰りで行えるほど侵襲が少なく、安全性の高い手術です。ただし手術である以上、術後出血などの合併症を起こす可能性をゼロにはできません。
大腸ポリープ切除を行った場合、切除でできた傷は基本的に3週間程度で治癒します。その期間は、出血や穿孔といった合併症が起こる可能性があります。合併症を起こす可能性は最初の1週間が高く、それから徐々に低下していきます。術後1週間程度、運動や長距離移動を控えることで、さらにリスクを低減できます。

術後出血

数百例に一例程度の頻度で発生するとされています。術後2~3日に生じることが多く、時間経過によって低下していきます。便に少量の血液が混じる程度の場合は、自然に止血されることが多く、安静に過ごすだけで改善します。ただし、出血が多く便全体が血液といった状態の場合には、受診して内視鏡による止血処置を受ける必要があります。


大腸穿孔

穿孔は、腸管に穴が開いてしまった状態で、緊急に開腹手術を行う必要があります。頻度は数千例に一例程度で、主にポリペクトミーの通電で下層までダメージが及んでしまったり、大きなポリープを無理矢理切除したりといったことで起こります。術後2~3日に生じることが多く、時間経過によって低下していきます。

ポリープ切除後の注意事項

ポリープのサイズや形状、血管の状態などによって、出血や穿孔といった合併症を起こす可能性があります。
合併症リスクを下げるためにも、術後の制限をしっかり守ってください。

アルコール

飲酒は、切除後1週間は禁止です。個人差がありますので、医師の指示をお守りください。ノンアルコールのものは飲んでいただいて大丈夫です。

腹圧のかかる仕事、運動

約1週間程度は中止です。個人差や内容によっても制限期間が変わります。なお、デスクワークや軽い家事に関しては特に制限がありません。

長距離移動

長時間の車の運転、飛行機や列車、船などを利用した長距離移動は術後1週間程度控えてください。

入浴

当日は軽いシャワー程度にしてください。翌日からは入浴も可能です。

食事

切除当日は消化がよく、消化管への負担が少ないものを食べるようにしてください。

文責:佐久間 大 院長 【日本消化器内視鏡専門医・指導医、日本消化器病専門医・指導医、日本肝臓専門医、日本内科総合内科専門医 など】

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